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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第51章 【第四十六話】かたちにならないもの



ラビは机の向こうへ戻り、紙束へ手を伸ばした。

「何、話した?」

一瞬、戸惑った。


でも、師匠の話もこの人にしたかった。

父のことも。
母のことも。


だから、私は頷いた。

「師匠、中央庁へ呼ばれたんですって」


「……やっぱりか」

「いつ戻れるか、分からないって」

ラビの目が細くなる。


「それから……父が、元ファインダーだったって教えてくれたの」

「親父さんが?」

「うん」

今度は、ラビがちゃんとこちらを見た。


「それ、元帥から聞いたん?」

「ええ」


「……そっか」

短く黙る。

「親父さん、教団で働いてたんだな」


その一言が嬉しくて、私は自然に続きを話した。

「母のことも、少し教えてくれたの」

「どんな?」

「父は、母の歌を受けたことがあるんですって」

ラビの表情が僅かに変わった。


「……任務で?」

「ええ。戦場で怖くて動けなくなって。それで母が歌ったら、また立てるようになったって」


「……」

「でも、父は喜ばなかったみたい」


「……なんで?」

「歌ってる母の顔を見て、人形みたいだったって」

ラビは黙った。



「命さえ助かれば、心はどうなってもいいのかって……思ったそうよ」

言葉が途切れた。


少し待つ。



その話をラビがどう思ったのか。

父をどう思ったのか。


何か言ってくれる気がした。


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