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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第51章 【第四十六話】かたちにならないもの




「母は……なんて?」

「答えは聞いてねぇ」


「……」

「ただ、そのしばらく後に、あいつら教団を出た」


父と母が教団を出た。

そこまで考えて、喉が詰まった。


「師匠は」

声が僅かに震える。

「知ってたんですか。歌が……そういうものだって」


「詳しくは知らねぇ」

師匠は短く答えた。

「嫌なもんをいくつか見ただけだ」


「なら」

思わず師匠を見る。

「なら、どうして私に歌わせたんですか」


今度は、師匠が少しだけ黙った。

煙草の先が赤く光る。



「封じときゃ済む力じゃねぇと思った」

「……」

「何も知らねぇまま暴発させるくらいなら、使い方くらい覚えさせた方がマシだ」

師匠の視線が、初めてこちらへ向いた。


「どこまで使うか。どこで止まるか」

一拍置いて、低い声が落ちる。


「それくらいは、自分で見極めろ」


そして。

「全部を預けるな」

胸の奥が僅かに揺れた。


……教団へ発つ日に、言われた言葉だ。


お前の力も。
歌も。

答えも。

連中がお前を何と呼ぼうが、最後に決めるのはお前だ、と。



あの時は、ただの心構えだと思っていた。

今になって、少しだけ違う意味に聞こえる。


「それだけだ」

師匠が視線を戻した。



この人がこんなふうに、続けて何かを説明してくれるのは珍しかった。

だから余計に、胸の中へひとつ疑問が残る。



「……どうして」

喉の奥が、少し痛んだ。

「傷が塞がってからって、言ってたのに」



どうして今、話してくれたの。


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