第50章 【第四十五話】『守る』というかたち
ラビの眉間に僅かに皺が寄る。
「それでもだっつーの」
「……どうして?」
「復帰していきなり手合わせとか、やめといた方がよくねーか?」
「その時の状態を見て決めるって言ってるじゃない」
「だからって、急ぐ必要ねーだろ」
空気が僅かに張った。
アレンがラビを見る。
私も、何も言わずその顔を見つめた。
ラビはそれに気づくと、すぐに口元を上げる。
「ほら、久しぶりの手合わせなんかしたら、二人ともヒートアップしそうじゃんさ」
話が、するりと逸れた。
さっきまで私だけを止めていたはずなのに、いつの間にかアレンまで巻き込んでいる。
「僕はちゃんと弁えてますよ」
「ホントかー? お前最近すぐ熱くなんじゃん。この前、病室抜け出してユウと手合わせした時も、途中からただの殴り合いになってたし――」
「あれは神田が悪いんですよ!! あの人、わざと人をイラつかせる言い方するんです!」
後ろで黙っていたリンクが淡々と口を挟む。
「ウォーカー。先に降参を装ったのは貴方です」
ラビは笑っている。
いつもの調子で、アレンをからかっている。
「まあ、まだ先の話ですし」
アレンが苦笑しながらラビを見る。
「実際にできるようになってから考えればいいじゃないですか」
ラビは不満そうに肩を竦めた。
「……なら、まあ」
「……なんでラビが許可するのよ」
アレンが苦笑する。
「なんか、婦長さんみたいですね。ラビ」
「よりによってその例えかよ!?」
思わずまた笑った。
それでも、小さな引っかかりだけは消えない。
医療班の許可が出ても。
身体が戻っても。
この人は、まだ私を止めるのだろうか。
木刀を握る手に、少しだけ力が入った。