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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第50章 【第四十五話】『守る』というかたち



【あれ?】

「ご褒美」

思わず顔を上げる。


「約束したろ。ファインダーんとこ謝りに行く時、オレが付いてってやる。その代わりに――ってさ」

私はメモ帳を素早くめくった。


【行かなかったでしょ】

「は?」

【向こうから来たもの】

【あなた、何もしてないわ】



ラビが数秒固まる。

「ちょ、待った待った! 契約は成立してたさ!」

【不履行よ】

「不可抗力だろ!? オレのせいじゃねーじゃん!」

【残念ね】

「……あの、なんとか、こう、温情という形で」

【却下】

「容赦ねぇ!!」

声を出さずに笑う。肩だけが揺れた。



ラビは椅子の上でぐったりと崩れ、それから何か思いついたように顔を上げる。


「じゃあ、そっちがその気なら」

「なに……?」

椅子ごと距離を詰められた。

近い。



「十日通ってんだけど、オレ」

「……え」

「……利子、付いてもいい頃じゃね?」

冗談の口調だった。

今度は、視線が天井へ逃げない。


「一個だけでいいからさ」

ベッドの縁にラビの手が置かれる。
私の手のすぐ隣。

「聞いてくんね? オレのお願い」


心臓が鳴った。


何を、と言おうとして声が出なかった。

喉のせいではない。

この人が何を言おうとしているのか、分かる気がした。



翠の目がまっすぐ私を見ている。

顔が近づいてくる。


――え。

思考が止まった。



唇に来ると思った熱は、ほんの少しだけ逸れた。

口角に近い頬へ、柔らかな感触が触れる。


「……なーんてな」

耳元で、笑いを含んだ声がした。


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