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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第6章 【第五話】存在を繋ぐ歌



私は石畳の上へ膝をついた。

荒い呼吸が、喉を焼く。
胸が上下するたび、擦り切れたような痛みが身体の奥へ響いた。


少し離れた場所で、ラビが少女を抱き上げ直していた。小さな身体は、彼の腕の中で静かに目を閉じている。

小さな胸が、弱々しく上下している。


――生きている。


「……よかった……」

声が、掠れた。

安堵が満ちきるより先に、視界の端へ赤いものが映る。


ラビの頬から、血が流れていた。

肩口の団服は裂け、腕にも深い傷が走っている。


「ラビ……!」

私は咄嗟に立ち上がろうとした。足に力が入らず、よろめきながら彼の傍へ近付く。


ラビは少女を静かに石畳へ横たえると、槌を支えにして身体を起こした。


「怪我が……」

伸ばした手が、傷の寸前で止まる。

――触れていいのか、分からなかった。


ラビはそんな私の手を見て、力なく笑った。

「……へへ。大したことねぇさ」

「そうは見えないわ」

「初任務の女の子の前で格好つけるくらい、許してくれてもよくね?」

笑ってみせた拍子に、ラビの息が一度、詰まった。視線が、眠る少女へ向く。


「それより、助かったんさ。あの子」

私は少女へ視線を移した。


泥に汚れた布人形を胸の傍へ置かれ、小さな呼吸を続けている。

触れれば、きっと温かい。


「ええ……救えたわ……」



「まだ終わってはおらん」

ブックマンの声が落ちた。

彼はラビの肩の傷へ手早く布を巻き終えると、広場の中央へ歩み寄り、先ほど黒い霧の核があった場所へ膝をついた。


石畳には、焼け焦げた細い線が幾重にも残されていた。


まるで、巨大な縫い跡。

死者の魂を、この場所へ縫い留めるために刻まれた、異様な紋様。

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