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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第50章 【第四十五話】『守る』というかたち




すぐには書けなかった。


自分の意思で紡いだものではない歌。
自分では止められなかった力。

それでも、あの時、自分の中に残っていた願いだけは覚えている。



怖がらせたくなかった。

誰にも、傷付いてほしくなかった。



私はペンを動かした。

【皆さんを、守りたかった】


書かれた文字を見て、ヨハンの表情が少しだけ緩む。

「……よかった」

すぐに表情を改めた。

「あの時の怖さは、いつ忘れられるか分からないですけど」

私は息を止める。


「でも……今は、その怖さだけでティファさんを見るつもりはありません」

目を見開いた。



パウルさんが、ぎこちなく笑う。

「俺達も……あの時は、不安に呑まれてました」

視線を落とした。

「『次はもう無理なんじゃないか』なんて。あれだけ傷ついて、それでも戦ってくれた人達がいたのに」


「本当に、すみませんでした」

二人は揃って、静かに頭を下げた。



喉の奥が熱くなる。
声は出ない。

私はただ一度だけ、深く頷いた。


ヨハンが言う。

「それと……仲間達を見送ってくれて、本当にありがとうございました」

声にならない息が揺れた。



私はゆっくりメモ帳へ書く。

【最後まで、傍にいたかっただけですから】



二人は、その一文を黙って読んでいた。


張り詰めていた空気が、少しだけほどける。


あの時の恐怖が消えたわけではない。
それでも、目の前の二人はもう私を見ていた。



彼らの心へ入り込んだ力ではなく。

今、ここにいる私を。


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