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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第50章 【第四十五話】『守る』というかたち



目を覚ましてから三日目の夜。


消灯時間が近づいた頃、医療棟の廊下が突然騒がしくなった。

聞き覚えのある声に、私は目を開けた。


隣のベッドでも、リナリーがむくりと起き上がる。

「……ラビ?」



――ビ――――ッ!!

聞いたことのない警報音が廊下へ響き渡った。


ばさっ、と何か大きなものが落ちる音。

「何さこれ!? 網!? なんでこんなもんが設置されてんだ!?」

「あー……ほんとに来たよ、この人……」


「科学班まで敵かよぉぉ!!」

「……あ、婦長さん呼んできます」
「待て待て待て!!」

揉み合う音が続く。


「ちょ、待つさ! もう大丈夫だっつってんだろ!!」

「網、明日も同じ位置でいいですかね」
「聞けって!!」

何かをずるずると床の上で引きずる音が、遠ざかっていった。


「テメェら全員覚えとけよォォ!!」



病室へ静寂が戻る。



数秒後。

隣のベッドから、布団の擦れる音がした。

見ると、リナリーが頭まで布団を被って肩を震わせている。
その向こうでは、ミランダが必死に口元を押さえていた。


「わ、笑っては……失礼よね……」

もう完全に笑っていた。


私は毛布を鼻先まで引き上げる。


……恥ずかしくて死にそう。


もう、やめて。
来なくていいから、ちゃんと寝てて。

そう思うのに。

明日もまた、どうにかして来ようとするのだろうということだけは分かっていた。


あの人は、そういう人だ。


毛布の中で、耳が熱かった。


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