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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第50章 【第四十五話】『守る』というかたち



「本人は『かすり傷』って言ってた」

リナリーが苦笑した。

「……その時の婦長の顔、見せたかったわ」


その向こうで、ミランダが口元を押さえる。

「ふふっ……でも、点滴を引き抜いて廊下で捕まったって聞いたわ」


私は瞬きをした。


……何をしているの、あの人。



「本当に、ティファちゃんのことが大切なのね」

ミランダが穏やかに笑う。


私は何か返そうとペンを構えた。

何も浮かばなくて、そのまま手を止める。


……何を書けばいいのよ。


結局、何も書かないままボードを伏せた。

呆れた顔をしてみせて、顔を上げる。


リナリーが、にやにやしながらこちらを見ていた。


……全然誤魔化せていなかったらしい。


私は諦めて顔を逸らした。



少しして、コムイさんのことを思い出す。
そういえば、目を覚ましてから一度も会っていない。


【コムイさんは? やっぱり忙しいの?】

リナリーの果物を剥く手が、一瞬だけ止まった。


「……うん。後始末と、今後の体制の話し合いで大変みたい」

そう言って笑った。


その笑い方は、さっきまでとは少しだけ違った。



剥き終えた果物が、小皿の上に綺麗に並べられている。

リナリーはその一つをフォークに刺すと、私へ差し出した。


「はい。ティファも食べて」

何事もなかったみたいに、別の話を始める。



私も、それ以上は聞かなかった。


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