第50章 【第四十五話】『守る』というかたち
病室は個室ではなく、三人部屋だった。
隣のベッドにはリナリー。その向こうにはミランダ。
今の医療棟は負傷者でいっぱいらしい。
リナリーは大きな怪我こそなかったものの、イノセンスが変化した影響を見るため、まだ経過観察中だった。ただ、病棟内を歩くくらいなら許可されているらしい。
目を覚ましてしばらく経ってから、私は枕元に置かれていたボードを手に取った。
聞きたいことはいくつもあった。
迷った末、最初に浮かんだことを書く。
【第五研究室は?】
リナリーの表情が曇った。
「……救護は終わったわ。助かった人もいる」
――助かった人も。
第五研究室で見た光景が頭をよぎった。
血のついた白衣。
床に落ちた眼鏡。
名前を呼ばれることもなく残されていた人達。
助からなかった人も、いる。
ボードの上で指が止まった。
リナリーはそんな私を見て、少し迷うように口を開く。
「そっか。ティファは、何があったのか全部は知らないものね」
私は顔を上げた。