第50章 【第四十五話】『守る』というかたち
Side:ティファ
目が覚めた時、最初に見えたのは医療棟の白い天井だった。
ぼんやりと瞬きをする。
……あれ。
私、確か――。
第五研究室。
タップ。
歌って、それから声が出なくなって……。
そこまで思い出したところで、視界の端から看護師さんの顔が覗き込んできた。
「……気が付いた?」
返事をしようとして、口を開く。
音は出なかった。
喉の奥で空気が擦れるだけで、声にはならない。
ああ、そうだった。
最後にラビへ何か言おうとしても、もう声が出なかったんだ。
分かっていたはずなのに、改めてその事実を突きつけられると、心臓の奥がすっと冷たくなった。
「無理に喋らないの」
看護師さんは私の様子を見て、少しだけ声を和らげた。
「エクソシストの皆は無事よ。……ラビも生きてるわ」
一番聞きたかった名前が、一番最後に来た。
思わず看護師さんを見ると、何もかも分かっているような顔で、小さく息を吐いた。
「まだ会わせられないけどね。あの子も治療中なの。大人しく寝てなさい。――『お互いに』ね」
最後の一言に、妙な力がこもっていた。
何の説明もされていないのに、少し嫌な予感がした。