第49章 【第四十四話】灰に咲く白百合
「ずっとここにいる。だから……だから、置いていかないでよ……」
ジョニーの声が崩れた。
少し離れた場所で、神田の拳が固く握られていた。
やがて何も言わず、踵を返す。
ティファは、遠ざかっていく足音を背に歌い続けた。
タップの口元が、微かに動いた。
笑おうとしたのかもしれない。
「もう一度……みんなと……」
途切れかけた声に、ジョニーが顔を寄せる。
「うん……」
「仕事、できるなら……」
さらさらと、タップの肩が崩れていく。
それでも最後まで、ジョニーだけを見つめていた。
「一生……残業でも……いいや……」
「タップ……?」
ほんの一瞬、昔のように笑った気がした。
その身体が、音もなく崩れる。
「タップ……!」
ジョニーが、消えていく身体を抱き締めた。
腕の中へ残ったのは、零れ落ちる砂だけだった。