第49章 【第四十四話】灰に咲く白百合
ティファはラビに背負われたまま、タップの姿を見つめた。
喉元で、ニルヴァーナが脈打った。
戦いの最中に感じた激しい鼓動とは違う。
今にも途切れそうな何かが、こちらを呼んでいる。
ティファはラビの肩を弱く叩いた。
「……下ろして」
ラビが慎重にティファを床へ下ろした。
足が床へ触れた途端、膝が折れかけた。
ラビの腕が、咄嗟に身体を支え直す。
「おい。大丈夫か」
ティファは小さく頷いた。
それだけで視界が揺れる。
それでも今度は、ラビの腕から離れようとはしなかった。
代わりに、その服を震える指で掴む。
「……傍、へ……」
「え?」
ティファが、タップへ目を向ける。
ラビはその視線を追い、表情を強張らせた。
「……歌う気か」
小さく頷く。
「お前の喉、もう……」
ラビはそこで言葉を切り、タップへ視線を向けた。
やがて、苦しげに息を吐く。
ティファの腰へ手を回し、ゆっくり立ち上がらせる。
「掴まってろ」
言われるまま、ティファは指先へ力を込めた。
一歩進むたび、脇腹から熱いものが流れていく。
ラビへ体重を預けながら、どうにかタップの傍まで辿り着いた。