第49章 【第四十四話】灰に咲く白百合
ようやく第五研究室へ辿り着いた時、内部では救護班が慌ただしく行き交っていた。
床へ横たわる者の名を呼び、脈を確かめ、次々と担架へ移していく。
その合間を縫うように、一台の担架が運び出されてきた。
横たわっていたのは、血に染まったブックマンだった。
「じじい! 平気か!?」
閉じていた瞳が、わずかに開く。
「大丈夫じゃ……。それより、ワシの髪の毛は燃えとらんかの……?」
ラビの目に、安堵の涙が浮かんだ。
「知るかッ! 毛なんてどうでもいい!」
怒鳴る声は、微かに震えていた。
その担架を見送った時、研究室の奥からジョニーの声が響いた。
「……タップ……」
スカルとなったタップの傍へ膝をつき、崩れ始めた手を両手で包んでいる。
タップの身体は、すでに半分近くが砂へ変わっていた。
黒い骨の隙間から、細かな粒が絶え間なく零れ落ちていく。
それでも、まだ完全には消えていない。
瞳が、微かに揺れていた。