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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第6章 【第五話】存在を繋ぐ歌



耳ではなく、身体の内側へ沈み込んでくる。喉を、胸を、心臓の奥を、鈍く揺さぶる音だった。


「……っ」

息が詰まる。

ニルヴァーナが、焼けるように熱を帯びた。


その瞬間、広場の中央で黒い霧が大きく揺れた。地面へ落ちた影が、息を吹き返したように蠢く。

その中心で、何か小さなものが震えていた。


「……助けて」

細い声。

私は息を呑んだ。


一人の少女が、石畳の上に蹲っていた。


年は、七つか八つほどだろうか。

色の薄い髪。泥に汚れた衣服。

小さな手の中には、何度も縫い直された跡のある布人形が握られている。


その身体は黒い霧に覆われ、輪郭の端が今にも溶けて消えてしまいそうだった。


その周囲には、白い影が幾重にも揺れている。
人の形を保ちきれない、薄い輪郭。老いた者も、若い者も、小さな子供もいた。

どれもが苦しげに身をよじりながら、足元から伸びる黒い糸で、石畳へ縫い留められている。

糸の先は、教会の鐘楼へと続いていた。


死者たち。

還ることを許されず、この地へ留め置かれた魂。


「……おかあ、さん……」

少女の声が、霧の中で儚く震えた。


その呼び声へ応えるように、白い影の一つが微かに揺れる。


女性の輪郭だった。

形は曖昧で、顔も分からない。細い腕が、少女へ伸ばされている。


触れられないまま。
抱き締めることもできないまま。

黒い糸に縛られ、ただ苦しげに震えている。


「……っ」

胸の奥を、鋭い痛みが貫いた。


――あの人が、この少女の母親なのだ。


既に死んでいるのに、天へ還ることも許されず、我が子の傍で苦しみ続けている。

駆け寄ろうとした足が、途中で止まった。


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