第6章 【第五話】存在を繋ぐ歌
「ティファ嬢」
「はい」
「お主の歌は、魂へ触れる力を持つ。だが、触れられるからといって、すべてを救えると思うでないぞ。救えぬものまで背負えば、いずれ歌う者の方が崩れる」
肩が、わずかに強張った。
「……はい」
師匠にも、同じようなことを言われた。
けれど、ブックマンの声には、師匠の苛立ちとも警戒とも違う、古い痛みのような響きがあった。
私は唇を引き結び、もう一度頷いた。
「肝に銘じます」
「んで、オレは?」
横から、明るい声が割って入る。
ラビがひらひらと手を振りながら、こちらへ一歩近付いた。
「ティファ、じじいにだけそんな丁寧な挨拶して、オレには何もなし?」
「ここへ来てから、十分に挨拶はしているでしょ?」
「それはそれ。これはこれさ」
相変わらずの軽口に、張り詰めていた空気が少しだけ緩む。
私は小さく息を吐いた。
「……相棒の希望、通ったみたいね。よろしく、ラビ」
「任せろって。言ったろ? 危なくなったら、ちゃんと守ってやるって」
「守られるだけのつもりはないわ」
「お、言うねぇ」
ラビが楽しそうに笑う。
私は無意識に、団服の袖口を指先で掴んだ。
初任務。分からない異変。
そして、何を考えているのか掴めない同行者。
小さな緊張が、静かに根を下ろしていく。