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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第42章 【第三十七話】声なき再会


ふと、視界の端で、チャオジーが目に入った。

漫才には加わらず、じっとアレンの横顔を見ている。
何かを持て余すような目だった。


――方舟での、あの一幕。


(……ま、無理もねぇさ)

こういうのは、時間が要る。


神田とアレンの応酬はまだ続いている。

ラビは呆れた。


けれど――

こういうやり取りが戻ってきたこと自体は、悪くない気分だった。


――ただ、その輪の中に、足りないものがある。

いつもなら、この馬鹿げた応酬に呆れて、それでも笑ってくれる誰かが。


ラビは、来た道の方を、ちらりと振り返った。

まだ、眠っているだろうか。
早く、目を覚ませばいい。

そう思いながら、ラビは足を前へ戻した。





「それより、外に出られねェのかよ、モヤシ!」
「アレンですってば、このヤロゥ!」

「喧嘩すんなよ、もー……」

ラビが割って入る間にも、アレンは扉へ手を掛けていた。


「出られるか、今確かめま――」

扉が、開く。

「――すよっ?」


その先に、床はなかった。
真っ暗な、底の見えない穴。

アレンの身体が、前のめりに傾ぐ。


「わ――っ! アレン、下ぁっ!!」

「うわっ!」

咄嗟に、アレンが神田の団服の裾を掴んだ。


「なっ……! このっ……!」

引きずられかけた神田が、ラビのシャツの裾を掴む。

「んげっ! わぁぁあっ、巻き添えかよっっ!」


三人分の体重が、扉の縁でぶら下がった。

「ふんっ!」
「ご、ごめんチャオジー……!」

「今、引き上げるッス!」

最後尾のチャオジーが、ラビの足を掴んで、歯を食いしばる。


「急いで……マジ意識が……っっ!!」

「……外には、つながってないみたいですね」

「テメェモヤシッ! 落ちるならひとりで落ちろ!!」

「く、首……締まってるっ……」

その時だった。


「!? 何だ……」

チャオジーの手首で、何かが光った。


鈍い金属音とともに、腕輪が、独りでに装着される。

白い光が、チャオジーの腕へ漲った。


三人分の体重が、嘘みたいに引き上げられていった。

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