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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第42章 【第三十七話】声なき再会



ラビはソファの傍へ膝をつく。

そして、そっとティファの手へ触れた。


温かい。

そのたった一つの感触に、胸の奥で張り詰めていたものが、ようやく少しだけ緩んだ。


「……ただいま」

返事はない。
閉じた瞼も、動かない。


それでも、ラビはその手を両手で包み込んだ。


「悪ぃな。預けちまって」

冗談めかそうとして、上手くいかなかった。


「でも、ちゃんと迎えに来たさ」

その時だった。
ティファの瞼が、微かに震えた。


「……っ」

ゆっくりと、重たそうに、睫毛が持ち上がる。


焦点の合わない瞳が、ぼんやりと宙をさまよい――

そして、ラビを捉えた。


「……! ティファ!」

ラビが呼ぶ。


ティファの唇が、僅かに動いた。

何か言おうとしている。
けれど、そこから音は零れなかった。

ただ、掠れた息が漏れるだけ。


それでも、その瞳は確かにラビを見ていた。


ラビの顔が、くしゃりと歪んだ。

笑っているのか、泣きそうなのか、自分でも分からないような顔で。


「……おせぇよ」

掠れた声。

「どんだけ心配させんだよ、バカ……」


その言葉に。
ティファの瞳の奥が僅かに揺れて――


次の瞬間、力が抜けるように、また閉じた。


「おい、ティファ……!」

握った手に、もう反応はない。


「気を失っただけだ」

煙を吐きながら、クロスが言った。


「さっき目ぇ開けたのも、大方お前の声に反応しただけだろ。……無理に呼び戻すな」

ラビは、しばらく動けなかった。



やがて、握った手を、額へ押し当てる。


ようやく、空気が動き出した。


見えていた。

ほんの一瞬だけど、確かにこっちを見ていた。


それだけで、今は。

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