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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第42章 【第三十七話】声なき再会



「あの……? 僕、ピアノなんて生まれてこのかた一度も弾いたこと……」

『ティムが楽譜をもってる』


「ってちょっと!! 楽譜の読み方なんて知りませんッツ!!」

『いいから弾け!! そうすれば舟はお前の意のままに――』


ブツッ。

ピ――――ッ!


「師匠!?」

無線が、切れた。



沈黙が落ちる。


アレンは、ピアノの前に立った。

鍵盤が、静かに光を映している。


その時。
ティムキャンピーが、大きく口を開いた。


宙に、光が広がっていく。
円環状に連なる、見たこともない記号の羅列。


「これが……楽譜!?」

『楽譜ダカラ』

影の声が、すぐ後ろで響いた。


『「アレン」ガ弾ク』

「どうして、僕なんだ……!?」

『「アレン」ノ――楽譜ダカラ』


意味が、分からない。


分からないのに。

円環の記号を見つめていると、なぜか、音が聴こえる気がした。


知らないはずの旋律が、頭の奥で、確かに鳴っている。


部屋の外で、世界が軋んだ。

『卵』の消滅が、最終段階に入ろうとしている。


――みんな。

アレンは、鍵盤へ指を置いた。


ラビ。
神田。
クロウリー。
チャオジー。
リナリー。

そして、ティファ。
ラビが命がけで守り、最後に自分へ託した人。


『死なせんなよ』

あの声に、応えるためにも。


「……弾け、アレン……!」

自分に言い聞かせて。
指を、振り下ろした。

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