第42章 【第三十七話】声なき再会
『オレノ「鍵」……』
影が、掠れた声で呟く。
『オレノ、ティムキャンピー』
「カギ……?」
『「アレン」』
影の双眸が、こちらを向いた。
『「ティムキャンピー」』
『フタツガ――「奏者ノ資格」』
「『ソウシャ』……? なんのことだ」
アレンは、影を睨む。
「ティムキャンピーは師匠のものだ。お前のじゃない」
「何者だ、お前……!」
影は、嗤ったまま動かない。
その時。
ピガガッ、と。
イヤリング型の通信機が反応した。
『――聞こえるかオラァ!! 馬っっ鹿弟子いいい!!』
「うわぁっ!?」
『とっとと転送を止めろオラァ!!』
『アレンくん、大丈夫? 聞こえる?』
「リナリー? ……ってか、なんか二人の声、近くないですか……?」
崩壊で足場が消えていく中、クロスは片腕でティファを抱え込み、リナリーはクロスのコートに必死にしがみついているらしかった。
空いた片手では、まだ術を維持している。
「師匠!! ティファに何かしたらラビに殺されますよ!!」
『抱っこくらいでピーピー騒ぐな。……それより』
クロスの声が、低くなる。
『そこにピアノはないか!?』
「えっ。はい、ありますが……」
『それが舟を動かす「心臓」になる』
「……心臓」
アレンは、白いピアノを見た。
『弾け!』