第42章 【第三十七話】声なき再会
「えっ……ここは……」
薄暗い、広大な部屋。
その床を埋め尽くすものを見て、アレンの息が止まった。
「なんだ、これ……死体……!?」
異形の骸が、幾重にも折り重なっている。
「この部屋……『生成工場』の番人共だ」
クロスは、表情も変えずに歩を進める。
その視線の先。
部屋の中央に、それはあった。
白い、巨大な卵。
「『生成工場』!? ここが?」
「アレンくん、うしろっ!」
リナリーの声に振り返り、アレンは言葉を失う。
見上げるほどの球体が、淡い光を帯びて浮かんでいた。
「そのでかい玉が、伯爵が造った、アクマの魔導式ボディの『卵』だ」
クロスが、煙を吐く。
「ブッ壊してぇんだが、結界が張られてて、解除すんのに時間が足りん」
アレンは、卵を見上げた。
表面が、微かに脈打っている。
「息づいてる……? まさか……っ」
「上を見ろ」
言われるまま、視線を上げる。
卵の周囲で、空間そのものが、蜂の巣状に剥がれ始めていた。
転送が――始まっている。
クロスの声が、静かに落ちた。
「『卵』が転送され消えた瞬間――オレ達もろとも、方舟は消滅する」
「どっ、どうするんですか師匠!?」
「止めるしかねェだろ」
「え?」