第42章 【第三十七話】声なき再会
伯爵は、倒れたティキを軽々と担ぎ直す。
「ですが、おかげでティキポンが覚醒しましたョ♡」
「この子は無意識に、ノアを抑える所がありましたからネェ」
「『快楽』メモリーの子には、代々期待しているのでス♡」
まるで、壊れた玩具を修理へ出すような口ぶりだった。
「早く新しい家に帰ろうレロ、伯爵タマ~!!」
「ハイハ~イ♡」
そして、伯爵はゆっくりと振り返る。
笑った目が、最後にこちらへ向けられた。
「さようなら――エクソシスト♡」
ティキを抱えたまま、歪みの中へ溶けていく。
その姿は、やがて完全に消えた。
伯爵の姿は、もうどこにもない。
「立て、アレン」
気だるい声が、降ってきた。
「お前に手伝わせる為に、ノアから助けてやったんだ」
アレンは、瓦礫に手をつきながら顔を上げる。
「てつだう……?」
「……何を、するんですか……?」
クロスは、短く答えた。
「任務だ」
「オレが何の為に来たか、知ってるだろうが」
「AKUMAの……『生成工場』――プラントの破壊……!」
リナリーが、はっと顔を上げる。
「この方舟に、『生成工場』があるんですか!?」
「部屋はまだ残っている」
クロスは、既に歩き出していた。
「『生成工場』へ道を開けろ、ティム」
呼ばれた瞬間。
ティムキャンピーが飛び上がり、まばゆい光を放つ。
全員光に飲み込まれ、一瞬にして生成工場のある場所へと移動していた。