第42章 【第三十七話】声なき再会
「ホッホッホッ♡」
楽しげな笑い声。
それが、最後の糸を焼き切った。
「ああああああぁぁ!!」
アレンは再び、地を蹴った。
何も見えていなかった。
崩れる足場も。
その先の、底のない闇も。
「アレンくん……っ、やめて……っ!」
リナリーの悲鳴。
その刹那。
「――脳傀儡(カルテ・ガルテ)!!!」
クロスの声が、響き渡った。
歌が溢れる。
マリアの歌が。
「……っ!?」
アレンの身体が、勝手に跳ねた。
崩れる縁を蹴り、安全な足場へ引き戻される。
「体が、勝手に……!?」
着地した身体は、糸で吊られた人形のように、ぴくりとも言うことを聞かない。
「マリアの、能力か……!」
前方では、伯爵が悠然と佇んでいる。
「師匠! マリアの術を解いて下さい!」
アレンは叫んだ。
「伯爵を……!!」
「やめろ」
短い声だった。
「仲間に死なれて、頭に血がのぼったか。馬鹿弟子」
「……っ!」
クロスは、伯爵から目を逸らさないまま、低く告げた。
「憎しみで伯爵と戦うな」
その一言が、深く突き刺さる。
荒い呼吸だけが、喉に残った。
その時。
「伯爵タマァァァ!!!」
甲高い声とともに、傘が飛んできた。
「ごくろう様でした! 子供たちの遊びに付き合わせちゃいましたネェ♡」
「超怖かったレロ~!」
「ホッホッホッ♡」