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彼女はボクに発情しない

第12章 夏の初めの多重旋律


☆☆☆
困ったことになった。
二日経ってもまともに陽太の顔が見れない。

あのとき、『まだ発情している』と言ったのは確かに嘘だったのだが、昂ぶっていたのは本当だった。勢い、というか、普段よりも大胆になっていたのだと思う。その勢いでキスをしてしまったものだから、恥ずかしいやらなんやらで、結局あの日は、夜、全く眠れなかった。

大体、陽太がいけなんだ・・・。
あんな場面で、あんな・・・あんな・・・言葉・・・

『が大事だから』

思い出して、また赤面してしまう。一応、今日の朝は普通にできた、と思う。陽太に変に思われていないか心配だったけど、陽太もいつものように少し離れてついてきてくれていた。

終業式も滞りなく終わり、帰りの時間。
また、陽太の周りは人だかりだ。

補習になった、ならなかったで、男子三人が話してる声が聞こえた。
あ、陽太も補習になったんだ。・・・え?2つも?

『合宿』、次はもっと、頑張らなきゃ。

それにしても・・・。三人のトークを聞いていて、私は思わず笑ってしまう。
陽太はいつも周りの人を明るくする。きっと、陽太自身が見栄を張ったり飾ったりしないからだと思う。それに、陽太はとても優しい。きっと、みんなにもそれがわかるんだ。

帰りの支度をしていると、どうやら陽太は遊びに誘われているようだ。
様子をうかがうと、陽太がチラっと私の方を見る。・・・心配、してくれているの?

大丈夫だよ。何かあったら、ちゃんと言うから。それ以前に、なにもないように頑張るから。
私は小さく頷いた。
楽しんできて、陽太。
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