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彼女はボクに発情しない

第13章 組曲:夏の夜の願い ”異榻同夢”


陽太が一緒にいてくれるなら、大丈夫かもしれない。それに、私の好きな人はこんな素敵な人なんですよ〜と、みんなに見せびらかしたい気持ちが、ちょっと・・・ほんのちょっとだけどある。

あと10分と言っていたので、りんご飴を手早く片付けて、受付を済ませる。陽太が言うにはあと30分は始まるまで時間があるらしい。
少し相談をして、本殿に参拝することにした。ここの神社は『縁結び』、そして、『結婚』の神様だという。できればご利益にあずかりたい。

ちらっと陽太を見る。やっぱり、かっこいい。

人が大勢いて、避けて通ろうとするとどうしても陽太に手が触れそうになる。

いっそう、手を繋いで歩きたい。
周りは腕を組んで歩いたり、手を繋いだり、そんなカップルばっかりだ。
私達だって、小さい頃は、よくそうしてたじゃない?

ここで、私が陽太の手をギュッと握ったら・・・陽太はどうするだろう?

そんなことを考えている時に陽太の手が私の手に当たったものだから、思わずびっくりして手を引いてしまった。

もう!なんで、そうしちゃうんだろう、私。
自分のタイミングの悪さに本当に、嫌気が差す。手を握ってしまえばよかった。

本殿についた。互いにお賽銭を投げ、深く二礼する。そして、縁結びの神様に届くように、大きく柏手をふたつ打った。

陽太と会えたこと、感謝しています。
陽太を幸せにしてください。
陽太が、勉強に困りませんように。
それから、陽太がずっと笑顔でいますように。
えっと・・・えっと・・・

ああ、そして、もう一つだけ。もしも、わがままを言っていいのなら・・・。
『陽太を幸せにできる人が、私であったのなら・・・本当に嬉しいです』
何か、奇跡が起これば・・・と、強く、強く神様に念じた。

最後に深く一礼。横を見ると、すでに陽太は願いを済ませていたようだ。待たせてしまっただろうか。ごめんなさい、と小さく謝った。

中央で大きな太鼓の音が響いた。コンテストが始まるのかもしれない。
夏祭りの、一大イベントが始まろうとしていた。
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