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彼女はボクに発情しない

第12章 夏の初めの多重旋律


ふふ・・・

あれ?なんか笑い声が聞こえた?ボクはあたりを見渡した。だけど、目に映るのは、終業式が終わり、後は帰るだけとなった騒がしい教室の様子ばかり。

空耳かな?

ふと見ると、が荷物をまとめて立ち上がろうとしていた。ボクも慌てて帰り支度をする。この前のように置いていかれたらかなわない。

「お、もう帰るのか?」
「遊んでかね?」
弦次と長谷川が誘ってくる。ええ・・・どうしようかなー。ちらっとを見ると、今の会話が聞こえたのか、こっちを見て軽く頷いてくれていた。

まあ、何かあったら知らせてくるだろう。
「ああ、近くだったらいいよ」
遠いとを助けに走れないから。

結局、遊ぶといっても暑いので、駅前のゲーセンに行くことになった。

が教室を出ていく。
あーあ、の夏の制服はこれでしばらく見納めか・・・。もちろん、お隣だから会おうと思えば毎日会えるが、さすがに用事もないのに行き来する年齢でもない。

そりゃ、ピンチのときは駆けていくけどさ。なんか、に会えないのは淋しいな。
ボクが、デートに誘ったら、どんな顔をするんだろう?
うーん・・・、なんとなくだけど、『は?』とか言われそう。

かといって、この間のサークルワンでの勝負みたいに、デートを賭けて勝負する、っていうのも非現実的だ。なにせ、ボクがに勝てそうなのは脚力ぐらいだ。

「おーい・・・陽太くーん?」
目の前にひらひらと長谷川の手のひらが踊っていた。
どうやらボクはが出ていった教室の扉の方を眺めて、相当呆けていたらしい。
「なんかボケっとしてっけど、大丈夫か?」
「え、あ・・・大丈夫、大丈夫!じゃあ、行こうか!」

こうして、ボクらの高校2年生の1学期は、まあそこそこ平和に幕を下ろしたのだった。
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