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【最遊記】千日紅

第9章 十六夜★


コンコン
「なっちゃん、ちょっと良いですか」

今回も宿は一人一部屋取れたため、八戒は華楠の部屋の扉をノックする

「あ、八戒。開いてるよどーぞ」

華楠が声だけかけると、八戒は扉を開け後ろ手にゆっくり鍵をしめた。

「少し話がありまして」

八戒は、ベッドに腰掛ける華楠の隣に腰を下ろす

「なに?どうしたの?」

青碧色の瞳が華楠を捕らえる。

〃そういう雰囲気〃を感じとった華楠は目を逸らした。


「華楠」

不意に名前を呼ばれ、驚いて顔を八戒に向ける。

「え…?今……」


「愛しています、華楠」

「八…戒…?」

「姉を愛していた猪悟能としての僕は、白眼魔王の城と共に終わりました。
過去を消したい、なかったことにしたいというわけではありません。
過去があっての今ですし、そのおかげで皆さんとも会えましたから。
猪悟能としての人生は終わった、というと語弊がありますが…気持ち的にはもう成仏…したんです。
…今は、猪八戒として…僕のこれからの人生を、華楠…貴女と共に生きて行きたい。」

じっと見つめられて動けない。

「で、でも私…」

「僕のこと、嫌いですか?」

「嫌いだなんて…!そんなこと…
好きか嫌いかで言ったら好きだよ…でも…」

「愛してはいない?」

「…っっ」

「では三蔵は?」

「…………………」

「すみません、嫌な聞き方をしました」

「ううん…三蔵のこと愛してるかって聞かれたら分からないの。」

「光明さまの教えでね…身体の交わりをする相手は己が眼と心で見極めなさいって言われて。あの時…本当は適当な人で薬抜けるまで…って思った。嫌だったけど、油断した自分が未熟だったわけだしみんなに迷惑かけられないから…って。
そしたら三蔵が…俺が引き受けるって言ってくれて。なんていうか、ほっとした…」

「三蔵のことは…笑ってるの見たら嬉しいし、苦しい時は助けてあげたい、あと…穏やかでいて欲しい…傍に…居たい…そう思う。
だけどそれを八戒に置き換えても同じこと思うの…
あの時…三蔵じゃなくて八戒だったら…八戒に委ねてたと思う。それは安心や信頼からなのか恋愛からなのか私は、自分の気持ちが分からない…」

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