第9章 十六夜
とある小さな町に着いた三蔵一行は早々に宿を押さえ、各々が自由時間を過ごすことになった。
ここまではいつもと同じ流れだが、ひとつだけ違うのは…華楠を一人にしないこと。
そのため華楠は八戒と二人で買い出しへ出かけたのだった。
「今日の夕飯何にしようかな〜
ジャガイモが安い〜!ガレットにしようかな♪あ!良い色のトマト〜」
店先で野菜を選ぶ華楠を、八戒はにこにこ眺めている。
「ねぇ、八戒は何か食べたいのある?」
「そうですねぇ…このトマトを使ってパスタなんてどうでしょう」
「わ!それ良い!
今日暖かいから冷製にしよっかな〜!」
「それは美味しそうですね。
すみません、ジャガイモとトマト5個ずつ下さい」
「あいよ!お二人は新婚さん?微笑ましくて良いねえ!」
そう言いながら店主の男性は、これオマケね!と言って林檎を1つ袋に入れてくれた。
二人は顔を見合せ恥ずかしそうに笑って、店主にお礼を言う。
「えっと…あとは三蔵のタバコ買って終わりだね」
言いながら通りを歩いていると、軒先で何やら作業をしている子どもたちが目に入った。華楠はしゃがみこんで子どもに話しかける。
「ねぇねぇ、それ何してるの?」
「お皿にね、絵を描いてるの〜」
そこには白色の平たいお皿に、色とりどりの曲線が描かれていた。
「お手伝いなの!」
女の子はニコッとしながら答える。
「そっか、偉いね」
華楠も笑顔で頭を撫でてあげると、他の子どもたちもわらわら自分が絵を描いた皿を見て見てと持ってきた。
「僕のはね、シャボン玉を考えて描いたんだ!」
「私は雲みたいな模様にしたの」
それぞれの色使いや模様はどれも素敵で、、華楠は見せに来る子ども一人一人に感想を言って頭を撫でてあげる。
すると、外の騒がしさに中年の細身な女性が顔を出した。
「こんにちは、騒がしくしてしまってすみません」
にこやかに八戒が挨拶をする。
「あの、すみません!食器に絵を描くの…私もやりたいんですけど出来ますか!?勿論代金はお支払いします!」
「入っといで」