第9章 十六夜
ドッドッドッドッ
あれから街を出発して数日…
「まだ着かねえのー?」
「そろそろだと思うんだけど」
華楠は助手席で地図を見ながら答える
その時
「お尋ね者の三蔵一行だ!」と妖怪の群れが襲ってきた。
「来やがったな!」
悟空と悟浄は如意棒と錫杖を出し臨戦態勢に入る。そんな中、妖怪の群れの最奥から様子を見ているのは紅孩児たち。
「………おい、何だアレは」
紅孩児が目にしたのは、華楠を中心に円になり守り固める三蔵一行
「えっ、何!?どうしたの!?」
華楠も動揺している。
「これだと戦いにくいんだけど…」
「なんかさ!また華楠が連れ去られると困るからって!」
「でも私戦えるよ!?」
「やりにくいのは承知の上なんですけど…僕らもどうするのがベストなのかまだ分かってないんで、とりあえず今回はこの形でやらせて下さい」
有無を言わせぬ物言いに、華楠もそれ以上何も言えなくなる。連れ去られたのは確かなのだから…
「分かった…でもサポートくらいはするからね!」
そうして4人は華楠を背に円になり襲ってくる妖怪を薙ぎ払っていき、時折華楠も法術で援護する。
「なんか姫さんとそれを守る騎士みてーだな」
苦笑いをしながら様子を見ていた独角兕が呟く
「それと…三蔵さんたち…雰囲気変わってません?小綺麗になったというか…」
『………確かに』
八百鼡の言葉に、独角兕と紅孩児は頷いた
元々ビジュアルの良い彼ら。華楠の作るバランスの良い食事と早寝早起の規則正しい生活が功を奏し、ようやくそのポテンシャルを発揮出来るようになっていた。
それに加え、毎日のラジオ体操やストレッチの結果体幹や柔軟性も良くなり身体の動きにも違いが出てきていた。
「ふむ…やりづらくなったな」
敵側の成長とも言える姿に、紅孩児は顎に手を当て考え込むと、「一旦引くぞ」と言い放ち消えたのだった。
その後、吠登城へ戻った紅孩児たちは今後の戦い方について話し合っていた。
「今までソロプレイだったあいつらにチームワークが生まれていたな」
「華楠さんが来てから…ですね」
「女一人居るだけであんなに変わるもんか?」
そんな話を柱の陰でこっそり聞いていた男が一人呟く
「ふーん。華楠、ね」