第45章 誕生日
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誕生日当日の朝―――
まだ早い時間。
窓の外には朝の薄い光が差し込み始めたばかりで、雄英の校舎も寮も、いつもよりずっと静かだった。
1年A組寮の廊下を、身支度を終えた爆豪が歩いていく。
寝起きの気配が残る静かな寮内に、足音だけが小さく響いていた。
やがてリビングへ続く扉を開ける。
「……あ?」
そこで、キッチンに立つ砂糖の姿が目に入った。
エプロンを身につけ、ボウルの中身を混ぜながら、黙々と作業をしている。
テーブルの上には小麦粉や砂糖、卵などの材料が並び、その横にはこれから使う道具がきちんと準備されていた。
「……もう始めてんのか」
爆豪が声をかけると、砂糖が振り返った。
「おう。せっかくだから、朝から仕込んどこうと思ってな」
キッチンへ近づき、並べられた材料へ目を向ける。
「今日のケーキだろ」
「そう。昨日、みんなで話してたろ?」
砂糖は笑いながら答えた。
「ユカリ先輩の誕生日だしな。ケーキくらい俺が作るって、買って出たんだよ」
「……そうか」
短く返し、爆豪は冷蔵庫を開ける。
中を確認してから、静かに扉を閉めた。
自分が使う分の材料は、すでに別に用意してある。
今日は3年寮のキッチンを借りることになっていた。
「爆豪は何するんだ?」
「……料理」
「へえ。先輩のためか?」
「他に誰がいる」
「はは、そりゃそうだな」
砂糖が楽しそうに笑う。
爆豪はそれ以上答えず、自分の荷物を手に取った。
そのまま玄関へ向かおうとして――ふと、足を止める。
脳裏に浮かんだのは、数日前の会話だった。