第45章 誕生日
その横では、ミリオが腹を抱えて爆笑していた。
「ははは!ユカリらしいなぁ!」
環も口元に小さな笑みを浮かべる。
「……うん。すごくユカリらしい」
昔から変わらない。
高価なものや珍しいものを欲しがるわけでもない。
誕生日だからといって、特別な何かを求めるわけでもない。
ユカリにとって一番大切なのは、いつだって――
人との時間だった。
ねじれがようやく机から顔を上げる。
「でもダメ!」
「なんで?」
「プレゼントは絶対あげる!」
「えぇ……絶対なの?」
「うん!絶対だから!」
「そうそう、絶対だよね!」
なぜかミリオまで賛同し、力強く頷いていた。
「ちょっと、ミリオまで……」
ユカリが助けを求めるように環へ視線を向ける。
だが、環はそんな視線をさらりと受け流し、本のページをめくった。
「諦めた方がいい」
「ひどい!」
ユカリが笑う。
そんな、いつもと変わらない平和な朝だった。
――ただ。
三年A組の面々は、なんとなく同じことを考えていた。
ユカリは、人気者だ。
三年生の中だけではない。
一年にも、二年にも。
教師にも。
さらにはプロヒーローにまで。
本人が知らないところで、まるでファンのような後輩や大人まで存在する。
そんな彼女の誕生日が――普通に終わるはずがない。
むしろ。
――絶対に、大変なことになる。
誰もがそう確信していた。
そして、その予感は。
残念ながら――かなり高い確率で、的中することになる。