第44章 My Cheerleader (R18)
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その頃。
爆豪に手を引かれるユカリは、静かな体育館裏を歩いていた。
「爆豪くん?」
声をかけても、返事はない。
ただ、繋がれた手だけはしっかりと握られたまま、ずんずんと先へ進んでいく。
「ねえ、どこ行くの?」
「………」
「爆豪くん?」
「……うるせぇ」
「えぇ……?」
思わずユカリは苦笑した。
どうやら、相当ご機嫌斜めらしい。
やがて爆豪が足を止めたのは、体育館裏にある薄暗い器具倉庫の前だった。
重い扉を開け、中に押し込まれる。
爆豪も後から入ると、カチリと鍵を回す無機質な音が響いた。
二人きりになったところで、ユカリは振り返る。
「どうしたの?」
「……別に」
「別に、って顔じゃないよ?」
「…………」
黙り込む爆豪を見つめ、ユカリは小さく首を傾げた。
今日の出来事を思い返せば、思い当たることはひとつしかない。
「もしかして、怒ってる?」
「怒ってねぇ」
「ほんと?」
「あァ」
返事だけは妙に早い。
けれど、どう見ても不機嫌そのものだった。
ユカリはそんな爆豪を見て、少しだけ意地悪そうに笑う。
「……ホークスさんのこと?」
「…………」
ぴたりと動きが止まり、爆豪の眉間にさらに深いシワが寄った。
「……チッ」
「やっぱり」
「うるせぇ」
「ふふっ」
「笑ってんじゃねぇ」
ユカリは楽しそうに笑いながら、一歩近づいた。
「爆豪くん、分かりやすいんだもん」
「……誰のせいだと思ってんだ」
低く落ちた声に、ユカリの胸が小さく跳ねた。
爆豪はじっと彼女を見つめている。
「……あいつ」
「ホークスさん?」
「あァ」
吐き捨てるように答えてから、爆豪は眉間に皺を寄せた。
「人の彼女に勝手に触ってんじゃねェよ」
「………」
ユカリの頬が、ほんのり赤くなる。
「……彼女って」
「なんだよ」
「ちゃんと、そう思ってくれてるんだなって」
「当たり前だろ」
迷いのない即答だった。
爆豪は気まずそうに視線を逸らす。