第44章 My Cheerleader (R18)
少し離れた会場の一角。
観客席にいた一人のプロヒーローが、羽を揺らしながらゆっくりと立ち上がっていた。
――ウィングヒーロー・ホークス。
トップクラスの知名度を誇るプロヒーローの姿に、会場のあちこちから驚きの声が上がる。
「うそ、ホークス来てたの!?」
「全然気づかなかった!」
「やば……!」
そんな周囲の視線を軽やかに受け流し、ホークスは迷うことなく歩き出した。
向かう先は——ユカリ。
爆豪は何も言わず、その背中を目で追う。
「やっほー、ユカリちゃん」
「えっ?」
声をかけられ、ユカリが振り返る。
その瞬間、ぱっと表情が明るくなった。
「あっ、ホークスさん!」
嬉しそうに笑う。
「お久しぶりです!」
「久しぶり。元気だった?」
ホークスも嬉しそうに手を上げた。
「はい。ホークスさんもお元気そうでよかったです」
「うんうん。元気元気」
軽く笑いながら、ホークスは改めてユカリの姿を眺める。
「……いやぁ、それにしても」
「?」
「相変わらずお綺麗で」
「えっ……」
不意打ちの言葉に、ユカリの頬がほんのり赤くなる。
「もう、ホークスさん。からかわないでください」
「からかってないって。本当にそう思ったんだから」
ホークスは悪びれる様子もなく笑った。
それもそのはず。
ホークスにとって彼女はお気に入りの後輩だ。
現場で顔を合わせるたび可愛がってきた経験もあり、距離感は驚くほど近い。