第44章 My Cheerleader (R18)
「……なんだ?」
切島が声のする方へ振り返った。
その瞬間。
「えっ!?ユカリ先輩!?」
思わず声を上げる。
出久もつられるように顔を向け――その姿を目にした途端、ぱっと頬を赤く染めた。
「……わぁ、可愛い……」
ぽつりと、無意識に本音が漏れる。
「……っ!ぼ、僕、何言って……!」
自分で口にした言葉に気づき、出久は慌てて顔を伏せた。
「……先輩、相変わらず可愛いな」
そんな二人の隣で、轟はいたって真面目な顔のまま呟いた。
一方、3年のコートでは。
「いやぁ!さすがユカリ!何着ても似合うよね!」
ミリオが満面の笑みで手を叩く。
「……ところで、なんでチア?」
「……たぶん、巻き込まれたんだと思う」
幼馴染の環は、どこか諦めたような目で呟いた。
断りきれずに流されるユカリの姿が簡単に想像出来たからだ。
けれど――
そんな周囲の反応など、爆豪の耳にはほとんど届いていなかった。
「…………」
ただ、じっとユカリを見つめている。
鮮やかな衣装。
いつもより少し短いスカート。
手にしたポンポン。
そして、照れくさそうに揺れる笑顔。
――似合っている。
それが、余計に腹立たしかった。
(……あんなもん着せられやがって)
しかも。
体育館中の視線が、彼女に集まっている。
男も、女も。
誰も彼もが、ユカリを見ている。
「…………チッ」
低く短い舌打ちが漏れた。
(………俺の先輩をジロジロ見てんじゃねぇぞ、アホ共が)
爆豪は苛立たしげに眉間へ皺を寄せた。
「……爆豪?」
その様子に気づいた切島が、恐る恐る声をかける。
「大丈夫か?さっきからすげぇ顔――」
「うるせェ」
「え?」
「……なんでもねぇ」
吐き捨てるように言って、爆豪は再びコートの向こうへ視線を戻した。
ユカリは、何も知らずにねじれと楽しそうに話している。
――その時。
「……あ!」
ふいに、観客席のほうから声が上がった。