第37章 格闘訓練
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放課後の第二訓練場。
今日は観客がいなくて静かだ。
ユカリは壁際に腰を下ろし、ペットボトルの水を飲みながら、目の前で興奮気味に喋る切島の話を聞いていた。
「それで、最後っスよ!!」
切島はぐっと拳を握りしめる。
「最後に読み切れたんス!爆豪のあの動き!」
「うんうん」
「ユカリ先輩が言ってたじゃないっスか、一歩先じゃなくて三歩先を読めって! あれを必死に頭ん中で考えてやったんスよ! 完全にとまではいかなかったスけど……でも、確かに一発当たったんス!」
少年のように目を輝かせる後輩を見て、ユカリの胸にも温かいものが広がる。
一週間前は格闘の基礎すら怪しかった彼が、わずか数日でそれを実践してみせた。
その成長が、自分のこと以上に誇らしかった。
「それに!」
切島はさらに声を弾ませる。
「最後まで、絶対に諦めなかったっス!」
「うん」
「結果は負けたし、めちゃくちゃ悔しいけど……最高の演習でした。すっげぇ楽しかったっス!!」
その顔は本当に晴れやかだった。
ユカリは満足そうに微笑むと、すっと手を高く掲げた。
「切島くん、ナイスファイト!」
「はい!!」
ぱぁんっ! と気持ちのいいハイタッチの音が訓練場に響き渡る。
二人が顔を見合わせて笑い合った、まさにその瞬間だった。
ガチャ、と訓練場の扉が開く。
ふと振り返ったユカリは、そこに立っていた人物を見てパチリと目を丸くした。
「……爆豪くん?」
そこにいたのは、制服姿のままポケットに両手を突っ込んだ爆豪だった。
その表情は、誰が見てもはっきりと分かるほど不機嫌そのもの。
切島はいつもの調子でひらひらと手を振った。
「おー、爆豪! どうしたんだよ?」
だが、爆豪は切島を見ない。
その鋭い視線は、ただ一点――ユカリだけを射抜くように見つめていた。
「?」
ユカリが首を傾げる。
「どうしたの?」
爆豪は少しの間黙っていたが、やがて視線を僅かに切島へと滑らせた。
「お前」
「おう?」
「出てけ」
「えっ」
あまりの言われように、切島は一瞬で固まる。