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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第37章 格闘訓練




***

放課後の第二訓練場。

今日は観客がいなくて静かだ。

ユカリは壁際に腰を下ろし、ペットボトルの水を飲みながら、目の前で興奮気味に喋る切島の話を聞いていた。

​「それで、最後っスよ!!」

切島はぐっと拳を握りしめる。

「最後に読み切れたんス!爆豪のあの動き!」

「うんうん」

「ユカリ先輩が言ってたじゃないっスか、一歩先じゃなくて三歩先を読めって! あれを必死に頭ん中で考えてやったんスよ! 完全にとまではいかなかったスけど……でも、確かに一発当たったんス!」

​少年のように目を輝かせる後輩を見て、ユカリの胸にも温かいものが広がる。

一週間前は格闘の基礎すら怪しかった彼が、わずか数日でそれを実践してみせた。

その成長が、自分のこと以上に誇らしかった。

​「それに!」

切島はさらに声を弾ませる。

「最後まで、絶対に諦めなかったっス!」

「うん」

「結果は負けたし、めちゃくちゃ悔しいけど……最高の演習でした。すっげぇ楽しかったっス!!」

​その顔は本当に晴れやかだった。

ユカリは満足そうに微笑むと、すっと手を高く掲げた。

​「切島くん、ナイスファイト!」

「はい!!」

​ぱぁんっ! と気持ちのいいハイタッチの音が訓練場に響き渡る。

二人が顔を見合わせて笑い合った、まさにその瞬間だった。

​ガチャ、と訓練場の扉が開く。

​ふと振り返ったユカリは、そこに立っていた人物を見てパチリと目を丸くした。

​「……爆豪くん?」

そこにいたのは、制服姿のままポケットに両手を突っ込んだ爆豪だった。

その表情は、誰が見てもはっきりと分かるほど不機嫌そのもの。

​切島はいつもの調子でひらひらと手を振った。

「おー、爆豪! どうしたんだよ?」

だが、爆豪は切島を見ない。

その鋭い視線は、ただ一点――ユカリだけを射抜くように見つめていた。

​「?」

ユカリが首を傾げる。

「どうしたの?」

​​爆豪は少しの間黙っていたが、やがて視線を僅かに切島へと滑らせた。

「お前」

「おう?」

「出てけ」

「えっ」

あまりの言われように、切島は一瞬で固まる。


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