第37章 格闘訓練
ユカリの指導は、どこまでも真摯だった。
一つ一つの動作を驚くほど丁寧に、真っ正面から見てくれている。
上手くできた時は自分のことのように笑顔で喜び、できない時は何がダメだったのか、その理由を分かりやすく噛み砕いて教えてくれる。
決して怒らない。
決して投げ出さない。
だからこそ、この人にどこまでもついていきたいと、心の底から思わされるのだ。
ミリオが優しい眼差しでその光景を見つめる。
「ユカリってさ、本当に『誰かを育てる』ことに向いてるんだよね」
環も本を閉じ、静かに頷く。
「……ああ。人にモノを教えるのが、昔から、本当に上手い……」
ねじれも嬉しそうに微笑んで、二人に同意した。
「うんうん!ユカリの教え方って、すごくあったかいもんね!」
訓練場の中央では、まだ切島が気合の入った声で立ち上がっている。
何度転んでも。
何度投げ飛ばされても。
その瞳から強い光が消えることはない。
「もう一回!」
「はい!お願いします!!」
むしろ、その顔には少年のような楽しげな笑みが張り付いている。
そしてユカリもまた、そんな真っ直ぐな後輩の目覚ましい成長を見つめながら、心からの愛おしさを込めて、嬉しそうに笑っていた。