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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第37章 格闘訓練





***

放課後の第二訓練場。

体育館のような広い空間に、張りのある声が響き渡った。

​「よろしくお願いします!」

​切島が深々と頭を下げる。

向かい合うユカリも、動きやすそうなジャージ姿で「よろしくね、切島くん」と綺麗に一礼を返した。

​訓練場には二人だけ。

……のはずだった。

​だが、少し離れた端のほうに視線を向けると、そこにはあまりに見慣れた三つの影が座り込んでいた。

​ミリオ、ねじれ、環。

どういうわけか、いつもの面々が当然のような顔でそこに居座っている。

ユカリ​は腰に手を当てて、呆れたように『観客席』を仰ぎ見た。

「なんでいるの?」

​「見学!」

ミリオが満面の笑みで即答した。

​「暇だからー!」

ねじれが楽しげに足をパタパタさせながら答える。

​「……巻き込まれた」

環が視線を本に落としたまま、ぽつりと呟く。

​まさに三者三様だった。

ユカリは小さくため息をついたが、わざわざ追い返すほどのことでもないと諦め、切島へと向き直る。

「じゃあ、始めようか」 

「はい!」

待ってましたとばかりに、切島が両拳を力強く握りしめる。

​やる気は十分、むしろ有り余るほどだ。

ユカリはそんな後輩の熱量が微笑ましいのか、くすくすと笑った。

​「まず確認ね。切島くんは、格闘技って何だと思う?」

​唐突な問いかけに、切島の動きがピタッと止まった。

「え?」

完全に予想外の質問。

切島は髪をガシガシと掻きながら、自分なりの答えを必死に絞り出す。

「その……殴るとか、蹴るとか、相手をブッ倒す技……っスか?」

​ユカリは静かに首を横に振った。

「違うよ」

「えっ」

​「格闘技は、相手を倒すための技術じゃない」

真剣に耳を傾ける切島を、ユカリの澄んだ瞳が真っ直ぐに見つめる。

​「自分を守る技術。仲間を守る技術。そして――」

​ユカリの声は静かだったが、広い訓練場に不思議なほど強く響き渡った。


「どんな状況でも、最後まで戦場に立ち続けるための技術」


​​切島は返す言葉を失い、その言葉の重みを深く噛み締めるように、ただ黙り込んだ。


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