第36章 2on1
ユカリの身体からワイヤーが解かれると同時に、八百万はその場に力なくへたり込んだ。
呼吸は激しく乱れ、顔は汗だらけだ。
極限まで頭脳をフル回転させ、無我夢中で動き回った彼女の身体には、もう一歩も動けるような力は残っていなかった。
「や、やりましたわ……」
地面に座り込んだまま、八百万はぽつりと呟く。
身体は疲弊しきっていたが、その表情は心の底からの達成感で輝いていた。
轟もまた、肩を大きく上下させながら荒い息を吐き、へたり込む八百万を見つめた。
その瞳には、かつてのような独りよがりの焦燥感はない。
「すごかった」
轟の口から出たのは、飾らない素直な称賛だった。
「お前のおかげだ、八百万」
予想だにしない言葉に、八百万はぱちくりと目を丸くした。
そして、胸に込み上げる嬉しさに、少しだけ頬を染めて照れくさそうに微笑んだ。
そんな二人を見て、ユカリもまた、爽やかな笑顔を浮かべていた。
本当に嬉しそうに、誇らしそうに二人の健闘を称えている。
自らの力で勝利を掴み取った後輩たちの姿を、こうして見届けられたのだから。