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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第36章 2on1




***

観戦席。

担任の相澤が腕を組んだまま、フィールドへ静かに鋭い視線を送っている。

そのすぐ近くでは、クラスメイトたちやミリオ、ねじれたちが固唾をのんで見守っていた。

​彼らの視線の先。

立体的な市街地エリアを模したグラウンドβ。

無造作に転がる瓦礫。

そびえ立つビル群。

そして行く手を阻む障害物の数々。

実戦さながらの緊張感が漂うフィールドの中央。

先輩ヒーローとしてユカリが一人、凛と佇んでいる。

​その正面に対峙するのは、轟と八百万。

​「ルールは簡単」

​ユカリはすっと表情を引き締め、二人を見据える。

​「私が敵(ヴィラン)役。二人で私を捕まえられたら勝ち」

​「了解しましたわ」

​八百万が引き締まった表情で頷く。

その隣で、轟はユカリの姿をじっと見つめていた。

​今、目の前に立っているユカリは、愛おしい憧れの人であると同時に、自分が追い越し、いつか肩を並べなければならない「一歩先を行くヒーロー」なのだ。

​日頃は先輩を好きで追っているけれど、今はヒーローを目指す者として、超えるべき壁として目の前の先輩を見据えている。

轟の瞳に宿る熱が、甘い恋慕から、静かで鋭い闘志へと一瞬で切り替わった。

​「……負けません、先輩」

​恋焦がれる「男」としてではない。

今この瞬間は。

同じ道を志す。

「一人のヒーロー」として。

轟の真っ直ぐすぎる宣戦布告に、その場の空気が一気にピリリと引き締まった。

「うん。期待してる」

​ユカリもまた、その鋭い眼差しを受け止め、挑戦を歓迎するように頷いた。

​「―――始め!」

​相澤の号令がグラウンドに響き渡った、その刹那。

轟の身体が、爆発的な勢いで前方へと飛び出した。

​「轟さん!」

​背後から八百万が慌てて声を上げる。

​「待ってください、まず状況確認を――」

​だが、轟の耳にその制止は届かない。

止まることなく右手を一振りすると、凄まじい轟音とともに巨大な氷壁が地面から突き出た。

一瞬にして市街地エリアの半分が白い氷で埋め尽くされる。

​ドォォォォン!!

​観戦席から「相変わらずエグい火力……」とざわめきが起こる。


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