第36章 2on1
フィールドでは、なおも戦闘が続いていた。
だが、そこには明らかな変化が生じている。
轟が、しっかりと八百万の動きを見るようになった。
八百万もまた、轟の動きを捉えながら次の手を打つ。
少しずつ、けれど確実に二人が「背中を預け合って戦う形」になり始めている。
ユカリは、肌に刺さる二人の連携の変化を確かに感じ取っていた。
だからこそ、ここで終わらせるわけにはいかない。
今の二人なら、この壁を乗り越えて、もう一段階上へと行けるはずだ。
「よし」
ユカリが再び、すっと低く構え直す。
「次は本気で来て」
轟と八百万が、驚いて顔を上げた。
それと同時に、観戦席のざわめきが一気に大きくなる。
「え?」
上鳴が呆然と固まった。
「今まで本気じゃなかったの?」
「嘘だろ?」
切島も、その底知れなさに少し引いている。
ユカリは不敵に笑った。
少しだけ、二人を挑発するように。
「まだまだでしょ?」
その言葉に、轟の瞳の奥で青い炎のような闘志が燃え上がる。
八百万の目にも、決して退かない強い意志が宿った。
相澤が腕を組んだまま小さく頷いた。
今からが本番だ。
ただの戦闘訓練ではない。
信頼と連携を自らの体で学ぶための実戦。
そして、それを教える相手は。
間違いなく。
雄英でも屈指の実力者だった。