第35章 常夏SPLASH
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楽しかったプールでの時間も終わりを告げ、空はすっかり茜色に染まっていた。
駅へと向かう道すがら、賑やかな1年A組の面々と、3年生の4人はここで別れることになる。
「ユカリ先輩! 今日マジで楽しかったっす!」
「うん、また学校でね」
手を振る上鳴たちに笑顔で応え、ユカリはミリオ、ねじれ、環と共に歩き出した。
ユカリは今日、この近くにある、以前お世話になったプロヒーローの事務所に少しだけ顔を出すことになっている。
実力も人望もある彼女は、色々な事務所から「時間がある時に少しだけでも手伝ってほしい」と声をかけられており、今日はその挨拶を兼ねての訪問だった。
歩く環の隣で、ユカリは何気なくバッグからスマホを取り出し、画面を開いた。
溜まっている通知を確認していく。
すると、朝届いていた一件のメッセージが目に留まった。
差出人は――爆豪。
メッセージには、彼らしく短い一言だけが残されていた。
『今日何してんだ』
(あ、朝忙しくて気づけなかったな……)
ユカリは思わず小さく笑う。
プールでの彼の不機嫌そうな顔や、みんなの荷物をなんだかんだ言いながら見張ってくれていた様子が頭に浮かんだ。
歩きながら、ユカリは画面にタタッと手際よく返信を打ち込んでいく。
メッセージを送信し終え、ふと、胸に湧いた予感に促されるようにして、ユカリは来た道を振り返った。
少し離れた夕暮れの一本道。
まだ駅へと向かって歩いている1年生の後ろ姿が見える。
その中でも、一際目を引く、少し荒い足取りで歩く爆豪の広い背中があった。
ユカリはその背中を、数秒間、ただじっと見つめていた。
すると。
まるで視線に気づいたかのように、爆豪がピクリと肩を揺らし、不意にこちらを振り返った。
遠く、夕日に照らされたオレンジ色の光の中で、二人の視線が真っ直ぐに重なる。
ユカリは悪戯っぽく微笑むと、片手に持ったスマートフォンをトントンと指差し、口元で「スマホ見て」とジェスチャーを送った。
爆豪は眉をひそめ、怪訝そうな顔をしながらも、ポケットから自身の端末を取り出す。
彼が画面に目を落としたその瞬間。