第35章 常夏SPLASH
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「はーい、次のお二人どうぞー! 」
スライダーの最上階。
水飛沫の音と楽しげなBGMが響く中、ついにユカリと轟の順番が回ってきた。
スタッフから渡されたのは、やはりどう見ても一人用の、小ぶりな丸い浮き輪だ。
「ルールですので、彼女さんが前でお願いしまーす! 彼氏さんは後ろから、滑走中に離れないようしっかりと抱きしめてあげてくださいねー!」
拡声器を持ったスタッフが、手慣れた様子でテキパキと指示を飛ばす。
「え、あ……前、ですか……?」
ユカリがおずおずと浮き輪の中央に腰を下ろすと、スタッフの言う通り、轟がそのすぐ後ろに回り込んだ。
必然的に、ユカリは轟の股の間にすっぽりと収まるような形になる。
(ま、待って……これ、想像以上に……っ)
ユカリの背中に、轟の硬く引き締まった胸板がピタリと隙間なく押し当てられた。
お互いに水着、かつ轟はラッシュガードも着ていないため、直に伝わってくる男の肌の熱さと、逞しい体躯の厚みに、ユカリの心臓は大きく跳ね上がる。
あまりの恥ずかしさに、彼女の耳はみるみる真っ赤に染まっていく。
一方、後ろからユカリの身体を包み込む形になった轟も、その表情こそポーカーフェイスを装っていたが、内心は相当に限界を迎えていた。
(……やべえな、これ……)
腕の中にすっぽりと収まったユカリの身体は、驚くほど柔らかく、そして温かい。
後ろから腕を回せば、自分の大きな手のひらが、ユカリの露出した細い素肌のウエストに直接触れてしまうのだ。
理性を保つのがやっとの状況の中、しかし轟は「離れないように」という指示通り、大きな腕で後ろからユカリの身体をがっしりと、強く抱き締めた。
「……ユカリ先輩、大丈夫ですか」
「っ、ひゃっ……!?」
逃げ場のないゼロ距離。
轟の、いつもより少し低く掠れた声が、ユカリのすぐ耳元で鼓膜を震わせる。
耳元へのダイレクトな吐息と低音ボイスに、ユカリは背中を「ビクンッ!」と可愛らしく跳ね上がらせた。
完全に余裕をなくして、首をすくめて真っ赤になっている先輩の姿を見て、背後の轟の目が、さらに一段と据わる。