第35章 常夏SPLASH
ユカリ。
その名前を聞いた途端、頭の中で点と点が一気につながる。
朝から返信がないこと。
未読のまま止まっているメッセージ。
――そういうことか。
「……何で、あいつがそこにいんだよ」
声の温度が、一段低くなる。
『いやー、天喰先輩たちと遊びに来てたみたいでさ。でも、本題はここからなんだよ』
上鳴は隣を見る。
瀬呂と切島は肩を震わせながら、「いけいけ」と無言でサムズアップを送っていた。
上鳴はニヤリと笑い、わざと声を潜める。
『今さ、ユカリ先輩、轟と一緒にいる』
「……は?」
そして、導火線に特大の着火を試みた。
『しかもさ、本日限定のカップルスライダーの列に二人で並んでんの。ほら、あの男女がギュウギュウに密着して滑るやつ。今、階段の上でさ、轟がユカリ先輩を手首引っ張って自分の胸にめちゃくちゃ引き寄せて、他の男から隠すようにイチャイチャ抱きしめてっ……あ、おい爆豪!?』
ブツッ、ツーツーツー……
「あ、切れた」
上鳴が画面を見ると、通話は完全に切断されていた。
通話終了。