第35章 常夏SPLASH
(……まさか)
(他の男と遊んでんじゃねぇだろうな)
考えた瞬間、自分でも呆れるほど苛立ちが込み上げた。
「……クソ」
ボッ。
手のひらから、小さな火花が散る。
イライラを抑えきれず、無意識に個性が漏れてしまう。
その時だった。
手元にあるスマホが震えた。
画面に表示されたのは『上鳴』の名前。
「……あァ!? どいつもこいつもクソ忙しい時に……っ!」
不機嫌の塊のまま、爆豪は通話ボタンを乱暴にスワイプした。
「あァ!?何だコラ上鳴!!用件秒で言わねぇとブチ殺すぞ!!」
『うわっ、出た、相変わらずテンション高ぇな爆豪!』
スピーカーの向こうから聞こえてくるのは、波の音と、上鳴のヘラヘラとした緊張感のない声。
そして背後からは瀬呂や切島たちが笑いを堪えている気配まで伝わってきた。
「……あ?」
爆豪は眉をひそめる。
「てめぇらプール行ってんじゃねぇのか。用がねぇなら切るぞ」
『待て待て待て!切るなって!』
上鳴は慌てたように声を張る。
『お前にサイコーの報告があるんだよ!今さ、俺たち流れるプールにいるんだけど、そこで誰を見つけたと思う?』
「知るか死ね。興味ねぇわ」
そのまま通話を切ろうと親指を動かした、その瞬間。
『ユカリ先輩だよ!』
「………あ?」
ぴたり、と爆豪の動きが止まる。
さっきまで苛立ちしかなかった瞳に、鋭い光が宿った。