第35章 常夏SPLASH
しかし次の瞬間。
爆豪派閥の面々は顔を見合わせると、ほぼ同時にニヤリと口角を上げた。
全員の脳裏に浮かんだ考えは、見事なまでに一致していた。
――これ、爆豪に見せたら絶対面白ぇ。
普段は誰に対しても強気で、不敵な態度を崩さない爆豪。
だが、相手が3年A組のユカリ先輩となると話は別だった。
少し距離が近いだけで機嫌が悪くなり、誰かがユカリと仲良くしているだけで露骨に不機嫌になる。
本人は絶対に認めない。
それでも、嫉妬と動揺が隠しきれていないことは、長く付き合ってきた彼らには丸わかりだった。
だからこそ。
そんな爆豪の反応を見るのは、爆豪派閥にとって最高の娯楽なのである。
「おいおいおい……これ、あの爆豪が知ったらどうなるよ?」
上鳴がニヤニヤと肩を揺らす。
「下行って見ようぜ! 降りてくるところ激写して証拠確保だ!!」
「おう! 事情聴取の動画も回そうぜ!!」
鼻息を荒くしてプールから上がろうとする一同の中、上鳴がニヤリとさらに邪悪な笑みを浮かべながら、防水ケースからスマートフォンを引っこ抜いた。
「ちょ、降りてくる前に爆豪に電話!!」
「ぶはっ! お前それガチで油に火を注ぐやつだろ!寮の部屋が爆破されるぞ!」
瀬呂が嬉しそうにツッコミを入れるが、上鳴の悪ノリの指は止まらない。
切島も「おいおいマジかよ……!」と言いつつ、爆豪がどんな猛り狂い方をするのか想像して、ニヤニヤが止まらない。
「爆豪の反応絶対やべぇって! 轟とユカリ先輩が密着スライダーなんて言ったら、アイツ絶対キレ散らかすだろ!面白すぎる!」
流れるプールは大騒ぎ。
そうとは知らない階段の上の二人と、寮で一人不機嫌に過ごしているはずの爆豪。
導火線に火がついたA組の悪ノリは、もう誰にも止められなかった。