第35章 常夏SPLASH
カンカンと小気味良い音を立てる鉄製の階段を進み、順番待ちの列に並ぶ。
上に行くほど周囲の視界が開け、天井からの陽光がユカリの白い肌をいっそう眩しく照らし出していた。
(……本当に轟くんと滑ることになっちゃった……)
ユカリが心臓のバクバクを必死に抑えようと俯いていた、その時。
轟のオッドアイの瞳が、周囲の異変を察知して鋭くなった。
階段の下や、同じように列に並んでいる他のカップルの男子たちが、隣にいる自分の彼女の目を盗んでは、あからさまにユカリへと視線を注いでいたのだ。
濡れた髪、少し大人っぽい水着から覗くしなやかなボディライン。
男たちが自分の彼女にバレないよう必死に視線を泳がせながらも、ユカリの圧倒的な美しさにどうしても目を奪われ、チラチラと下心全開で盗み見ている。
その露骨な視線に気づいた瞬間、轟の胸の奥で、静かでどす黒い独占欲が溢れ出る。
「ユカリ先輩」
「え?……っ!?」
低く掠れた声が鼓膜を震わせた直後、ユカリの細い手首が力強く引かれた。
引き寄せられた先は、驚くほど近くて、逞しい轟の胸の真ん中。
ダイレクトに伝わってくる彼の体温と、数日前のあの日に嗅いだ彼の匂いに、ユカリの身体はビクッと甘く強張る。