第35章 常夏SPLASH
「あ、ユカリ先輩と天喰先輩!お二人も来てたんですね!」
出久がパッと表情を輝かせ、親しみを込めて声をかけてくる。
だが、二人に駆け寄ってきた出久は、間近で見るユカリの姿に気づいた瞬間、「あ、えっと……!」と途端に言葉を詰まらせた。
いつも学校で見かける制服姿とは違う、濡れた肌に美しく映える少し大人っぽいデザインの水着。
そのしなやかなスタイルと、水滴を弾く白い肌があまりにも眩しくて、出久は顔を真っ赤にしながら「す、すごく、水着、お似合いです……!」と視線を泳がせて激しく照れてしまう。
一方、その後ろから歩み寄ってきた轟は、ユカリの水着姿を捉えた瞬間、その場にピキッと小さく固まった。
普段のポーカーフェイスは崩さないものの、オッドアイの瞳がわずかに大きく見開かれる。
ユカリの胸元や、露わになった美しいボディラインに視線が釘付けになり、一瞬だけ呼吸を忘れたように硬直していた。
「す、スライダー行くんですか……?」
出久はまだ顔を赤らめながら、ユカリたちの背後にある巨大な看板を見上げて問いかけた。
だが、そこに書かれたピンク色の文字――『本日限定:週に一度のカップルデー! 特設メガ・スライダーは2人乗りでの滑走専用』という一文が目に入った瞬間、出久の動きがピタリと止まる。
「え!? か、カップルスライダー……!?」
文字通り、出久は看板を二度見した。
男女が密着して滑るというその破廉恥(?)なルールを理解した瞬間、彼の脳内処理がキャパシティを超えて煙を吹きそうになる。
「ち、違うの出久くん……!」
ユカリはぶんぶんと首を振りながら、必死に弁明しようと手を伸ばした。
「助けてくれ……」
その隣では、スタッフの力に引きずられている環が、今にも消え入りそうな声で出久に救いを求めている。