第35章 常夏SPLASH
やがて観念したように肩の力を抜くと、小さく頷いた。
「……ん、わかった」
その一言を聞いた瞬間。
「やったー!」
ミリオが満面の笑みで飛びつき、嬉しさのあまり環の肩をバシバシと豪快に叩いた。
「環も来る!これで全員参加だ!」
「……叩かないでくれ、ミリオ……」
迷惑そうに身をよじりながらも、環の表情はどこか柔らかい。
そんな二人を見て、ユカリとねじれも思わず顔を見合わせて笑みをこぼした。
共有スペースには、久しぶりに課題やインターンの話ではない、高校生らしい穏やかな笑い声が響き渡る。
窓の外の夕日はさらに深く沈み、部屋を温かい茜色で満たしていた。
「それじゃあ!」
ミリオはチケットを太陽にかざすように掲げ、高らかに宣言した。
「今週末のオフは、みんなで全力で遊び尽くそう!!」
「おーっ!!」
ねじれが元気よく拳を上げ、ユカリも楽しそうに笑って頷く。
こうして、個性事故の騒動ですっかり忘れられていたプラチナチケットがきっかけとなり、多忙を極める三年生たちに、束の間の休日が訪れることになった。
しかし、誰もまだ知らない。
その、ただの“最高の息抜き”になるはずだった計画が、ひょんなことから一年生たちまで巻き込む、想像以上に少し賑やかで特別な一日になることを。