第34章 恋情増幅・後日談
「っ、……!?」
爆豪は、口に含んだばかりのご飯を喉に詰まらせかけ、激しく咳き込んだ。
ユカリのあの破壊力抜群の笑顔が脳裏に焼き付き、一瞬で顔が耳の裏まで真っ赤に染まる。
さっきまでギラギラと肉食獣のオーラを放っていたのが嘘のように、完全にキャパシティをオーバーしてフリーズしてしまった。
「ゲホッ、オエッ……!!」
「うおっ!? バクゴー、大丈夫か!? つーかお前、ユカリ先輩に手振られて何そんなに真っ赤な顔してんだよ!」
上鳴も指差しながら笑う。
「マジじゃん! 爆豪が照れてる! 激レア映像すぎるって!」
瀬呂も横から身を乗り出し、お腹を抱えて笑いながらさらに追い打ちをかける。
「おい上鳴、動画撮ったか!? いつもあんなに凶暴なのに、先輩の『ばいばい』一発で茹でダコになるとか、ギャップ萌えにも程があるだろ!」
「っるせぇテメェら!! ぶっ殺すぞ!! 死ね!!」
派閥のメンバーに思いきりツッコまれ、爆豪は顔を真っ赤にしながらキレ散らかす。
一方、轟のテーブルでも、凄まじい地殻変動が起きていた。
ユカリからのお手振りを正面から浴びた轟は、蕎麦をすすろうとした姿勢のまま、文字通りピキッと完全に静止していた。
いつものポーカーフェイスは保っているものの、箸を持つ手が小刻みに震え、オッドアイの瞳がかつてないほど激しく泳いでいる。
そして、白い方の肌の耳の裏から、ぶわっと蒸気が立ち上りそうなほど真っ赤に変色していった。
「と、轟くん……!? 耳がめちゃくちゃ真っ赤だよ!?」
戻ってきた飯田が不思議そうに首を傾げる横で、事情を知っている出久だけが、すべてを察して頭を抱えていた。
(うわあああ……!! 轟くん、ユカリ先輩のばいばい一発で完全にノックアウトされてる……!! )