第33章 恋情増幅(R18)
「だ、だめだめ、帰らないとバレちゃうから……!」
顔を真っ赤に染め直したユカリは、必死になって爆豪の手を振り払おうとした。
だが、爆豪はびくともせず、むしろ面白くなさそうに鼻を鳴らす。
「バレてもいいだろ別に。俺がてめぇを抱いたって、それだけの話だろ」
「よくないよ!?」
ユカリは声を裏返らせて即座にツッコんだ。
放課後の保健室で、後輩の爆豪とあんなにも激しい情事に耽っていたなんて三人にバレたら、それこそ恥ずかしさで死んでしまう。
「と、とにかく帰るから……っ!」
必死に抵抗して服を整えようと焦るユカリの姿を見て、爆豪はチッと大きく舌打ちをした。
せっかく自分の意志で俺を求めてくれたのに、一瞬で「いつもの先輩」に戻って、他の奴らの心配をし始めたのがどうにも気に入らない。
爆豪は掴んでいた手首の力を少しだけ緩めると、ぷいっと不機嫌そうに顔を背けた。
だが、その口からぽつりと漏れ出たのは、彼の柄にはおよそ似合わない言葉だった。
「……じゃあ、キスして帰れ」
「え……?」
ユカリは動きを止め、パチパチと瞬きをした。
あのプライドが高くて凶暴な爆豪が、まるで置いていかれる子供のように、少し拗ねた様子でキスを要求してきている。
そのギャップに、さっきまでのパニックが嘘のように拍子抜けしてしまった。
「ふふ……っ」
思わず、ユカリの口から小さな笑い声が溢れる。
個性に狂わされた淫らな顔でも、焦りに満ちた顔でもない。爆豪がずっと見たがっていた、いつもの優しくて温かい、大好きなユカリの笑顔だった。
その笑顔を見た瞬間、爆豪は自分がとんでもなく恥ずかしい台詞を吐いたことにようやく気づき、一気に耳まで真っ赤に染め上げた。
「――笑ってんじゃねぇよ!! 早くしろぶっ飛ばすぞ!!」
どの口がねだったんだと言いたくなるような、いつも通りの凶暴な怒声を響かせる爆豪。
ユカリは「はいはい」と可笑しそうに微笑みながら、彼の真っ赤になった頬に優しく手を添え、その尖らせた唇に、自身の唇をそっと重ねるのだった。