第33章 恋情増幅(R18)
まだ、爆豪と轟のどちらかを選べたわけじゃない。
爆豪の狂暴な熱さも、轟の淫らな指先も、どちらも鮮烈に身体に刻みつけられている。
だけど、ユカリの中で、二人がもう「好意がある相手」という境界線を超え、抗えない一人の男として、鮮烈に変貌を遂げてしまったのは確かだった。
そんな緊迫した思考の渦中―――
静まり返った保健室に、けたたましいバイブ音が突如として鳴り響いた。
「ッ、──あ」
床に乱暴に落とされていたユカリの制服のポケットの中で、スマホが激しく震えている。
ユカリが慌てて布団から手を伸ばし、拾い上げた画面を覗き込んだ瞬間、血の気がすうっと引いていくのが分かった。
画面を埋め尽くしていたのは、大量の着信履歴と未読メッセージの通知。
『 サーからいいものもらったよ! 寮にいないけどユカリ、今どこ? 』
『 ユカリどこにいるの? 見たら連絡ちょうだい! 心配なの! 』
『 ……心配。連絡して 』
ミリオとねじれと環だ。
連絡が取れなくなったユカリを、三人が本気で心配している。それもそのはず、18時を過ぎても寮に戻らず、連絡も途絶えていたのだ。
「ま、まずい。どうしよう……っ」
一気に現実の焦燥感が押し寄せ、ユカリの顔からさっきまでの艶っぽい赤みが引き、みるみる青ざめていく。
「すぐ帰らなきゃ……!」
ユカリは乱れたシャツのボタンを、震える指先で留めようと焦り狂う。
だが、その焦る手首を下から爆豪の大きな手がガシッと容赦なく掴んで止めた。
「……チッ、あいつら保護者かよ」
爆豪はスマホの画面を忌々しそうに睨みつけると、帰ろうと必死なユカリの腰をぐいと自分の方へと引き戻す。
まだ帰す気などさらさらないと言わんばかりのギラついた紅い瞳が、焦るユカリを逃がさないようにじっと射抜いていた。